DAWに搭載されているような一般的なデジタルEQは、必ずと言っていいくらいEQカーブが表示されており、どれくらい持ち上げたのか削ったのかが視覚的にわかります。
実際のハードウェアをエミュレートしたアナログモデリングEQは、EQカーブが表示されることはまずありません。
耳だけを頼りに使うこれらのEQが、実はどんなEQカーブを描いているのかをWavesのQ-Cloneを使って見てみよう!というのが今回のテーマです。
まず前回も登場したVEQ3の全バンドがフラットな状態のカーブです。
16kHz付近でちょっと削れているのが分かります。
VEQ3を挿すだけで高域が削れるということが分かりますね。
次に12kHzを6dB上げてみます。
12kHzを上げたら1kHz辺りから上が大きく持ち上がっていますね。
デジタルEQのようにきっちり12kHz付近から上がるわけではなく、かなり下の帯域までもブーストしています。
なので12kHzというかなり上の帯域を上げたはずなのに全体的に明るくなります。
持ち上がる手前は逆にへこんでディップができているのが分かります。
高域を上げると同時に中域が削れていくこのカーブが、よくあるアナログEQの特徴です。
今度は中域の700Hzを上下させてみました。
動画でその様子を見てみましょう。
かなり幅広くブースト・カットがされているのが分かります。
デジタルEQで同じようなカーブを再現するにはQをかなり大きく設定することになります。
なので1073タイプのVEQ3は細かな調整には向きませんが、ざっくりと大まかなキャラクターを作るのに向いているなと分かります。
Scheps73ではどうでしょうか?
まず全バンドがフラットの状態です。
こちらはほんのわずかですが低域が膨らみ、中域がへこみ、超低域にちょっとディップが出来ています。
先ほどと同じように12kHzを6dB上げてみました。
おや? VEQ3よりも上がり幅が小さいですね…
4dBも上がっていないように見えます。
もう一つはあまり聞き馴染みのないデベロッパーかもしれませんが、Prime StudioのCaribou Mixです。
このプラグイン、Wavesに比べるととんでもなく負荷が高い、重たいプラグインなのですが(それでもアップデートで以前よりかなり軽くなりました)、そのぶん別次元の音を出してくれます。
フラットな状態を見てみましょう。
これは、、、フラットなのか??(笑)
これだと確かに挿すだけで音が変わりますね!
なので僕はトラック書き出しの際にエキサイターのような感覚で使うことがあります。
今までと同じくハイバンドを6dB上げてみます。
12dB上がりました(笑)
ツマミの数字とは…。
このようにえげつないかかり方をするプラグインです。
個体差こそあれ、どれも同じビンテージNEVEをモデリングしたプラグインなのに、こんなに変化の仕方が違います。
プラグインによって出音が変わってくるのも当然ですね。
NEVEタイプを紹介していたら長くなってきたので、他のタイプはまた次回に!